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東京地方裁判所 平成2年(特わ)478号 判決 1990年7月24日

本籍

東京都武蔵野市御殿山一丁目二七五二番地

住居

東京都新宿区荒木町二二の五 福島公子方

無職

広瀬厚

昭和一三年一月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都武蔵野市御殿山一丁目七番一七号に居住し、株式会社すかいらーくに仕入開発部課長として勤務するかたわら、同会社の仕入関係業者から謝礼金を得ていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、取引関係者に対し右謝礼金を他人名義の普通預金口座に入金させて、これを受け取るなどの方法により、雑所得を秘匿した上

第一  昭和六一年分の実際総所得金額が六七八三万五〇二四円(別紙1修正損益計算書及び脱税額計算書の総所得金額欄参照)あつたのにかかわらず、右所得税の納期限である昭和六二年三月一六日までに、東京都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号の所轄武蔵野税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで、右期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額三四五七万三三〇〇円(別紙1脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六二年分の実際総所得金額が七六三六万一一九七円(別紙2修正損益計算書及び脱税額計算書の総所得金額欄参照)あつたのにかかわらず、昭和六三年三月一四日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分の総所得金額が五四九万九三九七円であり、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると八万六〇〇〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書(平成二年押第三八八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額三七二二万三三〇〇円と右申告税額との差額三七三〇万九三〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六三年分の実際総所得金額が一億〇二二八万一三八三円(別紙3修正損益計算書及び脱税計算書の総所得金額欄参照)あつたのにかかわらず、右所得税の納期限である平成元年三月一五日までに、前記武蔵野税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで、右期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額五一〇八万八六〇〇円(別紙3脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する平成二年三月六日付、同月一三日付、同月一五日付、同月一六日付(二三丁のもの、一一丁のもの)供述調書

一  山川実、梶原裕司の検察官に対する各供述調書

一  広瀬和子の収税官吏に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の謝礼金収入の調査書

一  税務署長作成の証拠品提出書

判示第一、第三の各事実について

一  収税官吏作成の給与収入、給与所得控除の調査書

一  検察官作成の捜査報告書

判示第二、第三の各事実について

一  被告人の検察官に対する平成二年三月一六日付供述調書(一二丁のもの)

一  戸澤忠の検察官に対する供述調書

判示第二の事実について

一  押収してある昭和六二年分の確定申告書一袋(平成二年押第三八八号の1)

(法令の適用)

罰条 各所得税法二三八条一項、二項

刑種の選択 懲役と罰金の各併科

併合罪処理 刑法四五条前段、懲役刑につき、同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)、罰金刑につき、同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑につき)

(求刑 懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円)

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和61年1月1日

至 昭和61年12月31日

広瀬厚

<省略>

脱税額計算書

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

広瀬厚

<省略>

税額計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 昭和63年1月1日

至 昭和63年12月31日

広瀬厚

<省略>

税額計算書

<省略>

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